社会福祉法人 はぴねす福祉会

お知らせ【医療について】

認知症への理解 シリーズ④ 「援助方法」

認知症シリーズも最後になりました。認知症の症状は沢山あります。軽度~重度と段階がありますが、援助方法を少し書いてみます。

【 排泄のサイン 】

認知症の進行に伴い、排泄を訴えることができなくなります。排泄のタイミングでの誘導ができることにより、失敗を防ぐことができます。

例えば
ウロウロして何かを探す動作をする。
落ち着きがなくなる。
手招き動作がみられる。
股間に手を持っていく。
奇声をあげることや、暴力行為等がみられる。
表情に変化がある。赤ら顔になったり、顔をしかめたりする。
パットを使用している場合は、外す行為がある。
近くにある新聞紙やチラシ、雑誌を裂いてくしゃくしゃともみ、柔らかくして準備する。
ゴミ箱等を探す。

以上のようなサインを見落とさず、よく観察し、早めに声掛け、トイレに誘導するとよいでしょう。その時には、プライバシーに配慮することが大切です。

【徘  徊】

 徘徊とは、「意味もなく歩き回る」というような意味で使われていますが、本人にとっては何か目的があるのかも知れません。家の中の動きには注意していればよいですが、家族の知らないうちに外へ出て行かれる方もいらっしゃいます。そうなると、探すのは大変です。
 徘徊する時間帯で、徘徊の理由(仕事、買い物など)の見当をつけ、高齢者の気持ちを受け止め、延期してもらうよう頼んでみる。無理であれば、一緒に近所を散歩し、タイミングを見計らって、他のことに興味が行くよう働きかけます。
 最近では、GPS機能付きの携帯電話もありますが、認知症の方は何かわからず捨てられてしまうことがあります。服に名札(住所・氏名・電話番号を記す)を縫い付ける。
 徘徊の著しい方は、警察に届けを出し、注意して頂く等の対応をするとよいでしょう。

【食  事】

食事を済ませた後でも「食べてない」と言われる方には、おにぎりやパン等を準備する。また、食後であり、沢山食べてお腹の調子を崩してもいけません。果物やお菓子、お茶等で繋ぐ。「準備しているから」「今炊いているから」等の説明をする。老人は水分が不足しがちになります。この時に水分を摂っていただくとよいと思います。

【もの盗られ妄想】

財布や貯金通帳など大切にしているものを「盗られた」と思い込んでしまう。それが、身近にいる介護される方に向きます。実際には、自分がしまったり、置き忘れたりしていても全く覚えていません。
「盗られた」と言われるときには否定したり、説得したりせず、一緒に探しましょう。日ごろから利用者の行動を観察してどんなところにしまうか、チェックしておき、本人が自分で探し出せるよう誘導しましょう。
介護者が探し出すと「やっぱりあなたが盗んで持っていたんだ」と思われることもあるので十分に注意してください。

  • 書店に、算数ドリル、国語ドリルといったものがあります。家庭でも脳トレ、脳の刺激を行うなど。
  • 介護サービスの利用、デイサービス、デイケアを利用することで、人と関わりを持ち、人と会話し、考える等、脳の刺激を行う。
  • 施設を利用することで、介護者にもゆとりの時間が持て、介護負担の軽減にもつながります。
  • 冬は空気が乾燥しています。夏場は汗をかいて水分を摂りやすい状況にありますが、冬場に水分を摂らない方がいらっしゃいます。隠れた脱水症を起こす可能性があります。冬場も注意して水分を摂り、脱水予防を図りましょう。

認知症への理解 シリーズ③
「認知症の診断と治療について」

【 診 断 】

まず問診で、その方に出現している症状を聞かれます。
日常生活での能力がどの程度なのか、着替えが上手に出来なかったり、食事の箸やスプーン、フォーク等が使えなかったり、トイレが解らない、通い慣れていた道に迷う、物を盗られた、入浴時身体が洗えない等、今迄何の不自由もなく出来ていた行為に支障を来す、家族がいつもと違う問題だと思われている行動を正確にお話しましょう。

次に、上記の症状の把握に加え検査を行います。  
①簡易認知能評価スケールでの評価テスト

  • 長谷川式認知症スケール(HDS-R)
  • ミニメンタルステート(MMSE)

②画像診断・・・脳の状態を診ます

  • コンピューター画像診断(CT)
  • 核磁気共鳴画像法(MRI)

KAIGO-17.gif

【 治 療 】

アルツハイマー型には、今年の夏に新薬も発売され薬の種類が増え、内服薬と貼り薬があります。軽度から重度の症状のある方に医師が状態を判断し投薬されます。
貼り薬は、1日1回張り替えるだけですので、本人はもとより家族や介護者にとって服薬管理の面では負担軽減に繋がると思います。その他、精神症状の著しい方には、漢方薬や精神薬も併用して投与される事もあります。
主にアルツハイマー型の治療を書きましたが、脳血管性、レビー小体、ピック病等は、違った薬が処方されます。

【 受診に際して 】

受診時、認知症が出現していると思われる症状を、しっかりと主治医に伝えられるようメモ等をとって記録しておくと良いでしょう。
また、受診して投薬を受けた場合には、副作用等も主治医に伺っておきましょう。

認知症の理解 シリーズ② 認知症の症状

認知症の症状は、初期症状から重度の症状と段階があります。
症状の出現は色々ですが、参考にしていただければと思います。

中核症状

記憶障害

  • 新しいことを覚えられない、前のことが思い出せない、短期記憶障害では食べたことを忘れる、直前のことを忘れてしまうなど。

見当識障害

  • 現在の月日、時間、場所、季節。自分の名前・年齢、目の前にいる人が誰か分からなくなる、記銘力の低下など。

実行機能障害

  • 段取りが立てられない、計画が出来ない。

失行

  • 服の着方が分からない、道具がうまく使えない、目的とする運動が出来ない。

失語

  • 話したり、言語を理解できず、物の名前が出てこない。

失認

  • 物が何か分からない。

周辺症状

妄想

  • 物を盗まれた。財布や貯金通帳等を盗られたと騒ぐ。物盗られ妄想、他人から危害を受けていると思い込んでしまう被害妄想など。

幻覚

  • いない人の声が聞こえる。実際にないものが見える。

睡眠覚醒リズム障害

  • 昼間よく眠り、夜間に目覚める。昼夜が逆転する。

食行動異常

  • 食べ物でないものなど、何でも食べようとする異食行動。

徘徊

  • 目的もなく歩き回る。外に出ようとする。

抑うつ

  • 気持ちが落ち込んで、やる気がない。

不安・焦燥

  • 落ち着かなく、イライラしやすい。

介護抵抗

  • 入浴や着替えを嫌がる。

暴言・暴力・攻撃性

  • 大きな声をあげる、手を挙げようとしたり、叩いたり蹴ったりする。

以上のような症状がありますが、脳血管性、アルツハイマー型、ピック病、レビー小体型など、疾患により症状の出現の違い、進行性であったり緩やかであったりします。

認知症への理解 シリーズ①  認知症の基礎

FA-O-14.gif 認知症とは、脳の後天的な器質障害によって知能が持続的かつ短期間のうちに低下し、日常生活に支障を表す精神疾患です。
 認知症患者は年々増加の傾向にあり、厚生労働省の調べでは2002年に約150万人だったものが、2015年には約250万人、2025年には320万人となり、65歳以上の人口の9%余りに達すると推計されています。

主に、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症が知られています。他にピック病、レビー小体型認知症等があります。50歳前後から65歳未満に発病する認知症を初老期認知症で、若年性認知症と呼ばれ、早期アルツハイマー型認知症やピック型が代表的です。

今回はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の違いをみてみましょう。

アルツハイマー型認知症

  • 原因不明の脳萎縮によっておこる

脳血管性の認知症

  • 脳梗塞・脳出血等の脳卒中に依って脳組織が障害されておこる

アルツハイマー型認知症

脳血管性認知症
70歳以上に多い 好発する年齢 50歳以降から発病が見られ、加齢と共に増加
女性に多い 好発する性別
男性に多い
記憶障害や知能低下、人格変化 主な初発症状 記憶障害や見当識障害

●記憶障害の中でも記銘力の低下が著しく、悪化すると直前にあった出来事も忘れてしまう

●知能の低下とともに理解力、判断力も不良

●病識は早期に失われる

症状の特徴

●日常的な判断力や理解力は比較的保たれる

●知能の侵されかたにむらがあるため、まだら認知症とも呼ばれる

●病識は晩期まで保たれる
比較的ゆるやか 症状の進行 脳卒中発作のたび段階的に進行
人格の変化が強くあらわれ、発病後早期に崩れる 人格の変化 比較的よく保たれる
感情の平坦化がみられる 感情の変化 情動失禁がみられる


※これからの季節、気温が上昇します。こまめに水分をとりましょう。
 脱水することで身体に重大な障害を発生することがありますで、脱水予防に努めましょう。